短編集『手紙』
それから毎日ラブレターが届いた。だが不思議な事に、下駄箱へ手紙を入れる所を目撃した者は誰も居なかった。

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│ 渡り廊下でバレーをして

│ 先生に叱られちゃったね。

│ 貴方を怒るなんて許せない。

│ あの先生

│ 私が懲らしめておくね。


│  可奈子×××××




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相変わらず5つのキスマークと一緒に届けられるラブレター。

一体どこから見ているのだろう。彼は背筋に嫌な汗が伝っていくのを感じた。

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│ 貴方が気持ち良さそうに

│ お昼寝してるのを見て

│ 私も一緒に寝たいなぁ

│ と思ったの。

│ 貴方を抱き締めて

│ 貴方と一緒の

│ 夢が見れたらいいなぁ。


│  可奈子×××××


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だんだん文体もタメ口になってきた。まるで彼女気取りだ。


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