短編集『手紙』
「おい。可奈子やばくね?」

「あ、ああ」

「アイツ。ヤバいんじゃね?」

「そ、そうだな」

彼の友人2人が教室の後ろで囁き合っていた。

「お前も何だか様子が変じゃね? 可奈子に何かされたんか?」

「そんなわけ無いじゃん。それより次、理科の実験だぞ?」

「やべ。ナンも準備してね」

2人は急いで支度を整えると理科室へ向かった。

一方通行のラブレターはそれから暫く続いたが、ある日を境にパッタリと来なくなる。

「最近手紙来ないんだよ」

「お前、飽きられたんじゃね?」

「そういやアイツも休んでるな」

「犯人だったりして」

「まさか!」

次の日、噂の張本人はやって来た。

「よう! どした?」

「ああ。風邪引いてただけだよ」


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