自己中王子の扱い方
「そいつ、俺のだから返して」
…翼さん
「なにいってんの?」
「俺らが先に誘ったんだし」
「…いいから、返せって言ってんだろ」
翼さんのいつもより低くて力のこもった声が聞こえた
「あ、ま、まぁいいや」
「今日はこのへんでな!」
「また逢ったら遊ぼうなッ」
男たちは腕を離し走り去っていった
「あ、助けていただいてありがとうございます…」
「いえいえ」
…あれ?
「なんで翼さんここにいるんですか?」
「あー?」
翼さんは地面に転がった人参やら大根やらを
拾いながら答える
「なんとなく」
あたしも同じように拾う
「おもッ…」
翼さんが袋2個持ちながら言う
「あ、ひとつ持ちますよ?」
「別にいい」
…家に着くまで無言で…