政略結婚
唇が離れるのと同時にそのまま私をベットに押し倒す。


その動作に体が拒否反応を一気に高めビクっと震える。


彼はその揺れに動きを止めた。


「・・・今晩は止めておく?心の準備も必要みたいだし」


彼は、呆れたようにため息ついでにそう漏らす。


その言葉に頷きたい気持ちを抑え、首を横に振った。


今日辞めても、明日がある。


いつか必ずしなければならないのなら、先延ばしにすべきではないと思う。


「・・・平気です」


震える声で、精一杯声を出す。


必死に覚悟を固めようとする私に彼は目をすっと細め、前に垂れ下がっていた髪をかきあげた。


「いい子だ」


淡泊な声が耳に響く。
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