【長編】距離
ため息もんだよ。


「朱菜、意味わかんねぇー。」


「修は、バカなんだから。」


「はっ?」


修が私を睨んだ。


「修にも大切な女の子ができたらわかるよ。
ハルくんは、昔と変わらずミナミちゃんを愛してるから。」


ハルくんの子供だから、鈍いのは仕方ないよね。


それなりに、しっかりしてるのに。


「子供にヤキモチってあり得ないから。」


「ありえなくないの。
お父さんだってそうだし、ソウくんもだからね。」


うちの男どもは、情けないのよね。


けど、羨ましい。


私もただ一人の人に愛されたいから。


「はぁ。
ありえねぇーから。
まあ、その思いはわからんでもないか。」


修は、私をチラ見する。


「てかさ。
朱菜は、なんで泣いてたわけ?」


榊くんが話をわるように入ってきた。


しかも、朱菜って。


「はっ?
泣いたわけ?」


修は、私の目の前にきてマジマジと私の顔を見た。


なんか怒ってる?


「すべてがうまくいかないから。」


私は、視線をそらして答えた。
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