【長編】距離
「朱菜って、男運ないんだね。」


榊くんは、私を鼻で笑った。


「わかってるよ。
たぶん、初めてを引きずってるからね。」


苦笑いだよ。


「初めて?」


「てかさ。
なんで、2人にこんな話さなきゃないわけ?
特に、修よ。」


私ばっかの意味がわかんない。


「いいじゃん。
サボってんだし。」


節目がちだった修は、楽しそうに笑った。


「修と話すの久々だね。」


「修、やっぱり....」


榊くんは、少し辛そうだった。


なんで?


「孝知、関係ねぇーから。
それに、仕方ないんだよ。」


修は、なにか諦めてる?


それは、どうしようもないこと?


「修、どうかしたの?」


私は、修の頭を優しくなでた。


何年ぶりだろう。


小さい頃は、何回もしてたのに。


懐かしいな。


「や、やめろよ。」


叫ぶように私の手を振り払った。


「修?」


「もう、ウンザリだ。」


修は、そのまま屋上からいなくなった。
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