【長編】距離

修 side

「孝知。」


「よかったな、修。」


孝知の顔は、ホッとしていた。


聞いたんだろうな。


「あぁー。
これで、言えるよ。」


覚悟が決まったから。


「いつ言うわけ?」


「今日か明日。」


孝知が吃驚したように俺を見た。


「そんな急に?」


「朱菜、受験生だし、それに...
来年から一人暮らしするかもなんだよ。」


「切羽詰まってるわけか?」


「ちょっとな。」


苦笑いだよ。


焦りたくないのに焦ってしまう。


「絶対、成功するよ。」


孝知は、変な確信があるみたいだ。


「みんな応援してくれんのは、嬉しいけどさ。
朱菜の気持ちがわかんないからさ。」


俺の片思いだから。


「俺が思う限り、朱菜は絶対に修を好きだぞ。」


「なんで、自信あるわけ?」


理解できない。


「じゃなきゃ、手繋いで登校しないから。」


「それは、小さい頃はそうだったから.....」


朱菜に深い意味はない。
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