【長編】距離

朱菜 side

「私、そろそろ帰るね?」


「なんで?」


まだ早いし。


夕飯食べてけばいいのに。


心は、ニコって笑って言った。


「たぶん、柚希さんは修くんを夕飯に招待するから。」


「えっ?
まさか〜。」


私は、否定した。


だって、あるわけないよ。


「朱菜のお母さんって、鋭くて黒いんでしょ?」


心は、よくわかってらっしゃる。


「そうだけど....」



「私の読みは正しいの。」


心は、いつになく強気だ。


そんな時の心には、逆らわない方が正解。


「わかった。
どうなったかは、メールで報告するね。」


「うん。
楽しみに待ってる。」


なんで、そんな嬉々として喜ぶかな?


満面の笑みだよ。


こんな心、貴重だし。


「気をつけて、帰ってね。」


「まだ、明るめだから大丈夫だよ。
じゃあね。」


心は、帰って行った。
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