【長編】距離

朱菜 side

「ねぇ。
君たち」


遊園地の中に入る直前に声をかけられた。


私と修は、振り向いた。


一組のカップル。


恋人同士かな?


「なんですか?」


修は、睨むようにそのカップルに聞いた。


私は、男を観察した。


なんとなく修に似てたから。


気のせいかな?


「榊 修って、名前?」


榊?


なんで?


この人、知ってる?


「えっ?
俺は、中畑 修ですけど。」


男は、不思議そうに修を見た。


確信が合って話しかけたのだろう。


「なんで、榊じゃないわけ?」


「あの。
なにが言いたいのか....」


修は、困っている。


「亮、人違い?」



「んな、わけない。
だって.....。
お前に痣はないか?」


なんか、焦ってるみたい。


てか、痣って.....


榊家の.....


「ないですよ。」


修は、気づいてないみたいだ。


「あの、榊の人間なんですか?」


私は、思い切って聞いた。


「?
俺は、捨てられっ子。
じいちゃんに昔言われた。
家の代々の跡継ぎには、この痣ができるって。」
< 213 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop