【長編】距離

戒 side

もう、遅かったか。


朱菜には、誰かいる。


元からわかってた。


朱菜は、俺を好きじゃないこと。


俺は、少しでも印象づけるためにいろいろしてただけ。


てか、ただ傷つけてただけなんだな。


今日、再会してわかった。


最初、ここを離れたのは父親の転勤だった。


そして、ここに戻ってきたのは、親の離婚だった。


朱菜は、気づいているのに触れなかった。


そういう、さりげない優しさが好きだった。


忘れるなんてできなかった。


たぶん、朱菜以上の女なんて現れない。


今は、そう思いたい。


けど、朱菜を過去にできたら。


朱菜以上に愛してやりたい。


まっすぐにそいつだけを。


それは、まだ先の話しだろうけど。


今から誓うよ。


まだ見ぬ彼女に。


素直に君だけを愛するから。


俺が見つけるまで、待ってて。
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