【長編】距離

朱菜 side

私の心は、凍ったまま。


修にいつ何を言われても言いように覚悟を決めていた。


修には、私の変化を気づかれないように必死に普通に努めた。


怖かった。


ずっと一緒にいたい相手だから。


ここまで、好きな人に溺れるとは思わなかった。


時々、どれがいつもの私かわからなくなる。


見失いそうになる。


嫌われたくない。


それしかなくて。


前の経験なんて、役に立たない。


修みたいに一途に思えばよかったんだ。


後悔したくないのに。


どうして?


不安になるたびに思考がおかしてくて。


悪い方ばかりに頭が洗脳されていく。


はぁ。


このままじゃよくないこともわかってる。


けど......


けどね。


言葉しかないのは辛いんだよ。


距離が縮まったと思うと離れて。


態度で示してほしい。


私が修のモノって証がほしい。


ただ、それだけでいいの。


私を大切に想ってるってわかれば。
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