【長編】距離
教室の中に戻ると女子が集まってきた。



「ねぇ。
孝知くん、なんだって?」


すごい楽しそうに話しかけてくる。


なんで?



「別になんでもないよ。」


「えぇー、つまんない。
一年のダブルイケメンの片割れが来たのに。」


「ダブルイケメン?」


私は、首を傾げた。


「榊 孝知くんと中畑 修くんよ。」


私は、固まった。


あの2人が?


ありえないから。


「しっかもね。
修くんのお父さんがバスケ部でいまだに噂の人らしいよ。」


「それ違うから。」


私は、とりあえず否定だけした。


私のお兄ちゃんだ。


えっへん。


って、堂々と言えないけどね。


「えっ?
朱菜ちゃん、知ってるの?」


「あはは。さあ?」


私は、できるだけ誤魔化そうとした。


「なんか、知ってるんでしょ。」



疑いの目。


「バスケ部で噂なのは、中畑 修の伯父さんよ。」


「なんで、知ってるの?」


ヤバい。



これは、さすがにヤバい。


嬉々としてる女子は、怖い。
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