【長編】距離

陽生 side

「母さん、あのさ....」



俺は、朱菜の部屋から出てきた母さんに気まずそうに話しかけた。


「時期が来たのね?」


母さんは、全てを察していた。


初めからそうなるって予感はしてたからね。


まさか、現実にそうなるなんて、思わなかった。


「あぁ。
それで、どうしたらいい?」


「なにが?」


「まだ、お互いに何もしてないから。」


母さんは、俺を見て呆れていた。


「今のままじゃ、何もできないでしょ?
素直にするには、話さなきゃダメなの。
修の誕生日まで待てないわよ。」


そうだ。


16歳になったら、全てを話す。


そう、決めていた。


けど、今じゃなきゃダメみたいだ。


修と朱菜のため。


修は、限界が来ていた。


朱菜は、気づかないふりをしている。


すべてを話したとき、行動してくれるよな。
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