【長編】距離
「陽生と朱菜が遅いから、食べちゃってるわよ。」


やっぱり、お母さんだ。


おかしくないように誤魔化してくれてる。


「うん、ごめん。」


私は、自分のいすに座った。


「あぁ。」


ハルくんもいすに座った。


今日は、お母さん得意のカレーだ。


ソウくんの大好物。


てか、みんなだけどね。


だから、ハルくん達来たんだ。


納得。


「お母さん、ソウくん来ないのにカレーなの?」


一応、聞いてみた。


「陽菜が取りに来たわよ。」


「へっ?」


私は、首を傾げた。


「陽菜は、元々、来る用事があったから、作っておいたのよ。」



「そうなんだ。」


知らなかった。


やっぱ、結婚しても子供のことを思ってくれてるのね。


お母さんって、鋭くて黒い部分があるけど、暖かく私たちを見守っているのね。


なら、気づいたのかな?


私が自覚する前に。


心に不安は、ある。


けど、意識しないようにと努めた。
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