【長編】距離
「朱菜」


私が家から出ると、修がいた。


珍しい。


てか、初めて。


「修。」


「朱菜、一緒に行かないか?」



照れくさそうに修が言った。


「うん。
一緒に行こっか?」


私は、笑顔で答えた。


私と修は、歩き始めた。


「修、どうしたの?
昨日から変だよ。」


私は、修の顔をのぞき込んで聞いた。


「べ、別に素直になろうって思っただけ。」


修の顔が赤くなった。


かわいい。


「ねぇ。
手繋ごっか?」


私は、小さい頃を思い出したように言った。


「はっ?」


修は、片眉がピクッて動いた。


怒ってる?


「だってさぁ〜。
昔は、よく手を繋いで歩いたじゃない。」


「あぁ〜。
そういえば、そうだったな。」


修も懐かしそうだ。


「だから、いいでしょ?」

「あぁ。」


修は、ぶっきらぼうに頷いてくれた。


私は、そんな修の手を握った。


修も私の手を握り返してくれた。


嬉しかった。


離れてた距離が縮んだ気がして。
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