【長編】距離
「実は....
漣斗くんなの。」


心は、照れながらも気まずそうに名前を言った。


「嘘でしょ?」


私は、目を見開いた。


「私ね。
朱菜と漣斗くん、壊したのはやっぱ自分だなって。
朱菜がいなくなった後、漣斗くんに謝りながら自分を責めたの。
そしたらね。
漣斗くん、自分が傷ついてるはずなのに私を慰めてくれたの。
それが、嬉しくて....トキメいちゃった。」


心は、きっかけを話してくれた。


「よかったね。
がんばって。」


私は、笑顔で応援した。


「軽蔑しない?」



「しないよ。
それに、私と漣斗は終わったから。
昨日、ちゃんと漣斗と話したから。
心は、気にしないで漣斗に恋しな。」


漣斗と心は、うまくいくかも。


すぐにとかじゃないけど。


だって、漣斗って相談とか苦手って言ってたもん。


誰かに縋りたかったにしろ、心を無意識に選んだ。


何かがあるんだろう。


「ありがとう。
頑張るね。」


心の笑顔は、かわいかった。


恋してるってわかる顔だ。
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