【長編】距離

朱菜 side

「朱菜ちゃん、さっきは、ごめんね。」


「えっ?
別にいいよ。」


だってね。


好きなら仕方ないよね。


独占したいって言う欲求。


「それで、確認なんだけど。」


綾ちゃんは、申し訳なさそうだ。


「なに?」



私は、首を傾げた。


「私が修くんに告白してもいいんだよね?」


「へっ?」


たぶん、私は間抜けな顔をしたと思う。


「だからね。
修くんとつき合ってないなら、告白してもいいんだよね?」


「うん。
頑張って。」


それしか言えない。


「それって、余裕ってこと?
バカにしてんの?」


綾ちゃんは、さっきまでの顔つきと違い怖かった。


「違うよ。
私や修の気持ちは、どうであったとしても、告白ってスゴい勇気でしょ?」


私は、綾ちゃんと同じ土俵に立つことができない。


綾ちゃんは、修とは他人だから。


羨ましいな。


私が綾ちゃんなら告白すぐしたかもね。


けど、この距離じゃなきゃ修とは近づけなかったかも。
< 71 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop