【長編】距離
「なんで?」


「朱菜には、本気で好きな奴とつき合ってほしいから。」


戒は、私に微笑んだ。


「ありがとう。」


私も微笑み返した。


「いや。
やっぱり、朱菜には幸せになってほしいから。
って、まだ彼氏じゃないのか...」



戒は、苦笑い。


「うん。
乗り越えなきゃいけない壁があるから。」


仕方ないのだ。


私と修の関係は、崩せないと思うから。


「朱菜、負けるな。
頑張れよ。」


「もちろんだよ。」


やっと見つけた人。


後悔だけは、したくない。


綾ちゃんが勇気をくれた。


後は、修を好きだという自信が欲しい。


揺るがない想いという強い気持ちが。


綾ちゃんみたいには、まだはっきり言えない気持ちだから。


そんな弱い想いじゃだめなの。


修しかいらないぐらいの。


家族を捨てれるぐらいの。


覚悟がなきゃ、ダメなの。


そのぐらいじゃなきゃ、修を好きになる資格はない。
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