【長編】距離
放課後か。


私は、修に電話した。


『朱菜、終わった?』


私が聞きたいことを修が聞いてきた。


「うん。
だから、電話したんだよ。」


私は、ちょっと笑けた。


『じゃあ、迎えに行くよ。』


修、それはダメだよ。


綾ちゃんに会っちゃうかも。


そんなのヤだ。


「だ、大丈夫だよ。
玄関で待ち合わせよう。」


『あっ?』



気のせいかな?


機嫌悪くなってない?


綾ちゃんに会いたいの?


告白されて、気になった?


聞けないよ。


「だって、修が大変でしょ?」


「てか、もうそばだし。」


修の声が電話越しじゃなくて直に聞こえた。


「し、修。」


よかった。


誰もいない教室で。


不安で押しつぶされそう。


怖いんだ。


結局、他人なのが羨ましすぎて。


この先は、茨の道しかないんじゃないかって。


そう思ってしまう。
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