傘、貸しましょうか?【短編集】
それから5、6年たった頃、
私は結婚して、それなりに幸せだった。
駄菓子屋は、来る子供は減ったけど、相変わらず平和に建っている。
いつもどうり暇だったから、私は駄菓子屋の周りの草刈りをしていた。
「すみませ~ん。」
店に向かって呼ぶ声。
久しぶりの客だ。
店の前を見ると、中学生くらいの女の子。
珍しいと思いながら、
「ハイハイ、お待たせしました。」
女の子に声をかけると、
その子は驚いた様子を見せた。