傘、貸しましょうか?【短編集】
……――私も驚いて声が出なかった。
その女の子は、前にここを離れたくないと言った、
私に決意をさせた女の子の面影があったから。
女の子は店内を見始めた。
前に来ていた子かどうか確かめようかしようとした時、
「おばちゃん、これ何円?」
コーラの飴玉を指差しながら女の子が言った。
それだけで充分だ。
この子は前に来ていた女の子。
私はその子の事はあまりわからないけど、
私をおばちゃんと呼んだから何となくそんな感じがした。