傘、貸しましょうか?【短編集】
ある店の前で、私は自転車を停めた。
そこは人気のない駄菓子屋さん。
ちっちゃい頃によく来ていた場所だ。
中を覗くと相変わらず薄暗く、二つの棚はどれもお菓子でうまっている。
「すみませ~ん。」
静かな中、私の声だけが響いた。
少しの沈黙の後聞こえる元気な声。
「ハイハイ、お待たせしました。」
後ろから聞こえたので、振り返ると、まだ若々しいおばちゃん(お姉さんと言った方が似合うけど)がいた。
自分が入って来た場所から人が入ってきたから、少しびっくりしながら
ここは変わったなと思う。