スイート*ハート~絆のラブリーDAYS~
10分後 パーカーを着て
車のキーを持った柊に
「待って、待って、私も行く」
ジャケットを羽織り
玄関へ向かう柊の背中を追う
「いいよ、
絆は家にいなさい
シャンプー以外に
欲しい物があるなら、
オレが買ってくるよ?」
「欲しい物はないけど
柊と一緒に行きたい」
柊は苦笑いして
「……あ、そう」って言った
靴に足を入れ、
爪先をトントンする
柊の指にかかった家の鍵が
キーホルダーとぶつかり
チャリッ……って音がした
「ねぇねぇ、柊」
「なに」
「歩いて行こう」
「はぁ?だって雨だよ?」
「雨、嫌い?」
「嫌いとか そういう意味じゃ…
………うーん……
…まぁ…いいか、わかりました
歩いて行きましょう、お嬢さま」
ため息ついて柊は傘を取り
玄関の扉を開けた
とたんにサーって雨の音が
流れ込んでくる。
鍵をかける柊の
背中をじっと見て
「じゃ、行くか」
柊が傘を開こうとした時
「あ、きぃバカだなー
歩いて行こうって言ったクセに
傘、忘れてるよ」
「忘れてないよ」
「だって、きぃ 傘持ってないぞ」
「柊が持ってるじゃない」
「………?
…だって、これはオレの」
首を傾げる柊に
私はニッコリ笑って
「傘は1つ あれば充分だよ」