スイート*ハート~絆のラブリーDAYS~



相合い傘で歩く
人気のない夜の道



ポツポツ


柊の深い緑色の傘に
雨が落ちて 粒になり
流れて行く



「もっと、こっちにおいで
肩が濡れるよ」


柊が優しく声を
かけてくれるから


「うん!」


ギュウッ
柊の腰に腕を回し抱きつく


「………腰巾着」


柊が何かボソッと言った


「なぁに?」


見上げて聞くと


「な~んでもないよっ」



雨に濡れた黒く光る歩道


水が跳ねないように
気をつけて歩く



頬を寄せた柊のパーカーは
とてもいい肌触り



「…………絆って」


柊が口を開いた


「絆って そんな感じ
だったっけ?」



「そんな感じ?」



「なんか、いつも
くっ付いてくるから」



結婚してから
絆の印象が変わった
柊は前を向いたまま言った




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