スイート*ハート~絆のラブリーDAYS~




「………貯金」


私が呟くと


柊が「え?」って訊き返す


「先生が好きって気持ちを
貯金してた時期なんだよ」



好きで好きで たまらなくて


それでも全然 届かなくて


「たくさん たくさん
貯まったから
今、大放出してるの」



背伸びして柊の頬にキスをする


柊は照れたような
困ったような表情を浮かべ



「そっか、ねぇ
その貯金0になる時はある?」


絶対にないよ


大放出しながらも


毎日 毎日 大好きが貯まってる


…………だけど


「そりゃあ、場合によれば
0になるよ~?」


ふふん と私は笑う


柊は眉を寄せ


「どんな場合0になる?」



「柊が構ってくれなかったり
愛の言葉をくれなかったり
浮気したり……………」


「オレが浮気すると思うの?」


「わからないよ
私が子供っぽいから
大人の女性に騙されるかもよ」


柊はクスクス笑って


「バカだな」


「あ、バカって言った!
0に近づいたぁ」


「本当に?うわーヤバい
どうしよう?
絆さん、どうしたらいい?」


「構って、構って」


「あー、じゃあ帰ったら…」


「うん、うん」


「一緒にお風呂」


「え―――――――っっ
やだよっ!恥ずかしい」


「あ、そう。じゃあいい」


「え?」


「0に近いかぁ………
哀しいなぁ…でも仕方ない
絆さん、いやだって言うし」


「~~~~~っ!
わかった。一緒に入ろう」


「あはは、本当に?
じゃあ早く
シャンプー買って帰ろ」




雨は相変わらず降り続ける


濡れないように


私たちは
ぴったりくっ付いて歩いた





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