*ハナコイ*


――――――


「どうしても人間になって王子様と話がしたいのッ!」



大好きな大好きなあの人に、この気持ちを伝えたい。



『でも、もしかしたら後悔するかもしれないよ…だって君は…バラなんだから』



そう言うのはお日様。



私は城の庭に植えられた一輪のバラ。



けれど城の王子様に恋をしてしまったんだ…



優しい優しい笑顔の王子様…



お日様の言ってる事はよくわかる…でももう気持ちが止められなかったんだ。



「後悔してもいいの。一度でいいから王子様と話がしたいの」



私は必死にお日様にお願いをした。



『わかった…なら私が明日の朝君を人間に変えてあげよう。そして今夜、お月様にお願いして七日目の夜にもう一度バラに戻してもらうんだよ』



お日様は私を人間にしてくれる約束をした。



もう嬉しくて嬉しくて…



お月様が現れる夜が待ち遠しくて仕方がなかった。



その時、廊下を王子様が通った。



王子様は家来のような人と忙しそうに廊下を歩いて行った。



いつもならこっちをみて笑ってくれるのに…
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