*ハナコイ*
――――――
「セルジュ様…何を見てらっしゃるんですか?」
「ん?いや…何でもないよ」
ロゼアは今日も中庭にいるのかな…
月の光を眺めながら、気になるのはロゼアの事ばかり。
姫の歓迎の宴や何やらで今日はずっと忙しくて、ようやく時間がとれたと思ったらもう月が顔を出していた。
「でも、本当に驚きました。」
俺の部屋で、隣に腰掛けている姫が優雅にカップに口を付けながら話しかけてきた。
「断られると思っていたので…」
そう言って頬を赤く染める彼女は確かに綺麗だと思った。
でも…
そんな彼女の笑顔とかぶるロゼアの笑顔。
どうしたんだ俺は…
こんな美人を前にして、しかもこんなにいい子なのに。
俺は姫をギュッと抱きしめていた。