*ハナコイ*
「白いバラなんて珍しい。でも…とても綺麗ね」
そっとバラに触れる。
私が気持ちを言ってしまった事…王子様はきっと困ってるわ。
せっかく素敵なお姫様と結婚するのに…
私はそっとバラに触れながら王子様とお姫様の結婚式を思い浮かべていた…
綺麗なドレスを着た美しいお姫様にそっと手をさしのべるのは、幸せそうにほほえむ王子様…
「きっとこのバラがよく似合うわ…」
ため息混じりに囁く私の目からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
ダメッ…
ちゃんと王子様の幸せを願わなきゃ、そう思ってるのに…
「ッ…」
私は花壇の前で、声を殺してひっそりと泣いた。