*ハナコイ*
ひとしきに泣いた私は、部屋へ戻りハサミを持ってきた。
そして、花壇に咲く赤と白のバラを切るとそれを束ね、リボンで止めた。
私が王子様の為にできるのは、もうこんな事しかないから…
その足で真っ直ぐ使用人頭の部屋へ向かうと、そっとドアをノックした。
「あの…お願いがあるんですが…」
―――――
部屋へ戻った私はベッドに横になると、静かに目を閉じた。
今日は庭へは行かない…
あなたに会えば…また気持ちが大きくなっちゃうから。
人間になれてよかった…
恋が…こんなに苦しいものだってわかったから。
恋が…こんなに素敵なものだってわかったから。
だからね…
私は…幸せでした…