*ハナコイ*


忘れようとした愛しい人…



今こんなものを見たら、止まらなくなるじゃんか…



俺はぐしゃりと紙切れを握りしめると、再び姫に口づけをした。



「んっ…」



いつもだったら大人しく受け入れる姫が、珍しく抵抗するもんだから俺は唇を離して姫を見た。



「セルジュ様…あなたはいつも、私を通して違う女性を見てる…」



そうだよ…俺は君を心から愛してない。



「もう…無理しなくていいですから」

「姫…」



瞳にいっぱい涙を溜めてわざと笑顔を作る姫はやっぱり可愛くて、俺はぎゅっと抱きしめていた。



「ありがとう」



ごめん…



「幸せになってくれ…」



俺ではない他の男と…



俺は中庭に向かって駆け出した。
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