*ハナコイ*
――――――
「はぁ…」
最近忙しいな…
そりゃあ俺は王子なんだから、いろいろ責任があるのはわかる。
でも顔を合わせるたびに結婚の話ばかりされても嫌になる。
そんな事を考えていたら無性に中庭に行きたくなった。
小さいときから庭に咲くバラが大好きだったんだよな…
こう、落ち着くっていうか…
そんな事を考えていたら自然と足が中庭に向かっていた。
こんな夜更けに外にいる人なんていないだろうし。
そう思っていたんだけど…
「君は…?」
俺が大好きなバラの前には、先客がいたんだ。
「王子…様…」
驚いたような顔で俺を見る彼女。
可愛い子だな…
素直にそう思った。
「君は?どうしてこんな時間に中庭なんかに?」