キミがスキ
「泣いてる場合じゃないよ。生きてる今を楽しも?咲哉だって居るしお腹ん中にも居る。お前二児のお母さんだぞ?んな顔してどーすんだよ。とにかく俺はコイツ等を残して逝くのは悔しいけど生きてる内は絶対楽しむ」って言ったの…。それから楽しく過ごしたわ。彰人の病気は次第に悪化していってね。目が霞んだり吐き気がしたり手足が動かなくなったり。だけど微かに動く左手で優花が居るお腹を笑顔で撫でてくれた。優花が産まれた時抱っこは出来なかったけどその代わりずっと一緒に居たわ。仕事も最後まで頑張ってね。優花の名前付けたのは彰人よ。"優"しい"花"みたいになって欲しいって。咲哉もそう。咲哉の"咲"と優花の"花"をくっつけてみて?」
お兄ちゃんの咲と私の花をくっつける…?
さく…はな…???
意味が分からない…(泣)
私があれこれ悩んでいると隣から低い声が聞こえてきた。
「"咲"花"。花の様に咲いて欲しいって意味だろ?」
あーぁ!!そう言う事なんだ…
「そうよ。花の様に咲いて欲しいってお父さんが付けたの。彰人咲哉とはいっぱい遊べても優花とはあまり遊べなかったじゃない?出掛ける時優花と同じくらいの年の子がお父さん達と楽しそうに遊んでる姿を見た時彰人の膝で眠るアナタに震えた声でこう言ったのよ…「ゴメンな…」って。」
お母さんの言葉を聞いた途端に涙が込み上げてきた。
「彰人が逝ってしまったのは優花がまた3歳で咲哉が5歳の頃だったかしら…彰人ね…亡くなる直前まで言ってた事があったのよ。まだ若かったお母さんは彰人が死ぬって言われた時に泣いて泣いてご飯も食べれなかった…。でもねその言葉で泣いてちゃダメなんだって思ったの。」