それでも僕は
いわゆる孤児として8歳まで施設で育った僕。
本当の家族なんて知らない。
そんな僕を引きとったのは、絵にかいたような素敵な家だった。

誰よりも頼りになる父。
料理上手で綺麗な母。
天真爛漫な一人娘。
僕は、優しくて明るいこの橘タチバナ家に引きとられた。

父も母も姉も、僕を本当の家族のように扱ってくれた。
ただ、ひとつ、
挨拶を交わさないことを除いて。
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