小説案
「ちょっ…ちょっと!開けてくださーいっ」
ドアノブを回してみても、
鍵を閉められてあたしが開けることはできなかった。
嘘でしょ…?
あたしは急いでバッグの中から
携帯を取り出して、不動産会社に電話を掛けた。
「――はい、北明不動産です」
数秒の呼び出し音の後、明るい女の人の声があたしの耳に届いた。
「あの、藤田梓ですけど、あたしが住むマンションって402号室で合ってますよね?」
あたしがそう訊くと、
彼女は申し訳なさそうにあたしに説明を始めた。