小説案
「その物件のことなんですが…他の会社とかぶってしまいまして、こちらが引くということになってしまったので――他の物件を探していただけますか?」
他の会社とかぶった?
他の物件を探せ?
こんな小説みたいな話が、
まさか自分に降りかかってくるとは思ってもみなかった。
「今4時なのに、これから探せっていうんですか?」
この物件は値段、場所、内装
全てが気に入ったからここに決めたのに。
同じような条件で、
しかも今日から住める物件なんて、
見当たるハズがない。
他人事のように言う彼女に、
怒りさえ込み上げてきた。