2番目。
「…大丈夫だよ。怒ってないし。それに、大切な人が泣いてたらきっと私も追いかけてたと思うから。」


これは私の本心。
もし私の目の前で大切な人が泣きながら走り去っていったら、私は迷わず追いかける。


あのあと考えた。
もしも諒くんがあのまま奈々ちゃんを追いかけていなかったら、きっと私は「行ってあげて」と言っていただろう。


大切な人をちゃんと大切にしてほしいから。


だから、私は怒っているわけじゃない。


あのとき、諒くんの後ろ姿を見ながら最初に感じたのは悲しみ。でも、次に感じたのは怒りではなかった。
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