バスルーム ~君の魔法が解ける時間~


そう,あれは突然の出来事─────



『ちな~!ジュン君大変な熱みたいだからおうちまで送ってあげて~!!』


ママがメイクルームからドアの外にいるあたしに大声で叫んだ。



あたしのママはメイクアップアーティスト兼スタイリスト。


モデルさんや俳優さんをより綺麗に見せる仕事をしている。


『な!!そんな大変ならママが送ればいいじゃん~!!』


そんなママの娘,あたしはすっぴんブスで,そこらへんによくいる普通の女子高生。


一応ママのアシスタントをしています。


中学まで大嫌いなすっぴんで毎日を乗り越え,高校に入ってようやくメイクデビュー。


メイクがあればあたしのこんな薄い顔も,人並みに見える。


高校までブスで通ってきたから,少女漫画みたいな恋愛はもちろん,彼氏なんてできたことがない。



『ママには仕事があるの~!!あんただって分かってるでしょ!!』


キンキンと耳に響く声を放ちながらママがジュンをかついで部屋から出てきた。


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