バスルーム ~君の魔法が解ける時間~


『あたしジュンのこと好きかわかんない。恋愛したことないから。』


『付き合ったことないってこと?』


『うん…』



ジュンはうーんと難しい顔をして胸のあたりで腕を組んだ。




やっぱりこんなやつ面倒だって思ってるんだ。


あたしなんていいとこなしなんでしょ。



だんだん自分がむなしくなってきた。



『ならなおさら俺のこと好きになってもらわないとな!』



いきなり沈黙がとぎれた。



ジュンはさっきの表情からは想像もつかないほどきらきらした笑顔を見せた。



トクン…



まただ。


またあたしの鼓動が早くなる。

『ジュン,あたしね…昨日からおかしいんだ。』


『なにが?』



あたしはつばをゴクリと飲み込んで



『昨日初めてジュンの笑った顔みて…どきっとしたの。』



ジュンはあたしが話すのを促すようにうんうんとうなずいた。


『それでさっきからも…心臓の音がおっきい。』



あたしがやっとのことで言い終えると,ジュンはふぅっと息をはいてぐっとあたしの顔に近づいた。



その距離わずか10センチ…



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