バスルーム ~君の魔法が解ける時間~


『ね,目つぶって?』


ジュンがそう囁くとその息があたしの鼻をくすぐった。


あたしはジュンの顔が近すぎてびっくりして硬直していた。


いつのまにかジュンの右手があたしの首の後ろにそえられている。



ちょ…まって。

心の準備が…



心臓の音今までにないくらいすごく早くなってる。


ジュンの右手がなかったら今にも倒れてしまいそうだ。



あたしは思わずぎゅっと目をつぶった。



目をつぶると,鼓動の音にしか集中できなくなっていた。



心臓が爆発しそう…













ちゅ。



ひたいに温かくて柔らかい感覚。



おそるおそる目をあけるとジュンのいたずらそうな笑み。




『どきどきした?』




にぱっと笑ってあたしの首から手をはなした。



< 33 / 54 >

この作品をシェア

pagetop