私にとって唯一の人
『〜方面ご利用の方は3番乗り場へお越しください』

義務のように流れる構内放送を聞きながら、柏木 桜-カシワギサクラ-は、ある人を探していた。この駅は市内でも大きいほうで、たくさんの人が各々の使うホームへと急いでいた。とくに今の時間は登校、通勤ラッシュで非常に混雑している。

「あっ。」
人混みの中、桜は探していた人を見つけ、微笑む。
「健司君!」
"健司"そう呼ばれた、黒の学ラン姿の少年が、桜に気づき、近づく。
「桜、おはよう」
桜の頭を撫で、笑顔でそう言う。
「おはよう、健司君♪」
桜は、ちょっと照れながら、よりいっそう笑顔になる。

そう。健司は桜の彼氏。
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