深紅の花に姫君《旧版》
「スイラン!!」


俺が叫んだのも
虚しく
スイランの姿は
もう見えなかった。





「離せよ……」

俺は低く女に
怒りを込めて
呟いた。





女は慌てて
俺から離れ
走り去った。




ハァー……



俺は誰にも
聞こえる事のない
ため息をついた。
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