オレンジの教室




思いおこせば、中学の時、塩田がいきなり話かけてきたのが始まりだ。





「なぁ、蔵木。
お前、ベースやってんだろ? 俺とバンド組めよ。」

塩田とは、クラスが違い、小耳にはさんだことはあったが、話したことがなかった。





最初、コイツ何言ってるんだ、と思っていた。

話したこともない俺を、いきなりバンドに誘うなんて、おかしい。


どこから俺がベースをやってるっと聞いたのかは、分からない。

だが、いずれにせよ、俺はヤツの誘いを断るつもりだった。









が、無理だった。


断る間もなく、塩田は急に俺の手を引っ張って学校の屋上へと連れていったのであった。



何がなんだか分からない俺は、屋上でやけにテンション高いボーズがこっちに手を振っていることに気がついた。


いったいなんなんだ。




呆然とする俺をよそに、例のボーズと話す塩田。



やがて、二人がクルリとこちらを向き、ニヤニヤ顔でこう言った。










「よろしくな!
RUSHのベーシスト、蔵木 隼人くん」






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