鳴海‐Narumi‐【短編】
ふと、忘れかけていたが、ソファに寝そべる父が「うーん」と声を発した事で、鳴海家の主とその妻の事を思い出した。

「起こしてみようか。一旦」

三江はそう言うと、二人を揺り動かした。

目を擦りながら、父、義正と母、千草が体を起こす。

「おおぅ、今日も遅いな、次郎」

緊迫感の無い父の声に俺はげんなりする。

そもそも、この問題に一番関心が無いのは、この両親達だろう。

無理やり家族会議に参加させられたものの、恐らくは話が始まる前に寝てしまったに違いない。
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