鳴海‐Narumi‐【短編】
「親父大丈夫か?」

流石に俺も心配になって声を掛けたのだが、曖昧に泣き笑い顔みたいな微妙な顔で頷かれただけだった。

なんだこれは?

太郎の説明が終わると、親父の様子がおかしい事を家族全員が心配し始めた。

「ねえ、あなた、大丈夫?」母が心配する。

「お父さん、どっか悪いの?」三江も心配する。

四郎でさえ、「親父、水飲むか?」などと真剣に心配する中、長兄の太郎だけは、心配そうな顔、というよりは、何かに気がついたようなそんな顔をしている。
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