*逢風*
「着いたぞ、ここが俺の所の宿屋だ『はざくら』ってんだ。」

「わぁあ…ッ」

(すごいっっ!!大きい!!そんで綺麗だー。)

宿屋『はざくら』
大通りに面した宿達の中でも一際大きかった。

夕方も過ぎ去り、すっかり夜になった京の街。

『はざくら』の入り口には、せわしく人が行き交っていた。

格子窓から見えた宿の中は、女中やお手伝いが忙しそうだった。

入り口の両脇には火の灯りがついていて、疲れた旅人たちを癒すかの様に柔らかな光を放っていた。
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