大人の女と男の関係
「摩耶さん!
ご無沙汰しています!!」


「マーヤ」には、成哉に結婚報告をした後、摩耶さんにも同じ報告をしに行ったのが最後だった。


お店にあてて年賀状を出してはいたけれど、摩耶さんの声を聞くのは2年ぶりだった。


「はがき、見たわ。
大変だったでしょう。
今はもう、落ち着いたの?」


カウンターの向こうでいろんな人生を見てきたであろう摩耶さんは、むやみに詮索などしてこないのでほっとした。


「はい、今はすっかり。
お気遣いありがとうございます」


摩耶さんとは、プライベートで会うことはいっさいなく、電話をもらうのも初めてだった。


でも、他の誰よりも摩耶さんからの電話は嬉しかった。


独身時代、愚痴を聞き続けてくれた彼女に、私は姉のような親しみを抱いていたのだと改めて思った。
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