大人の女と男の関係
「香菜ちゃんからのはがき、旧姓なのにも驚いたんだけどね、もらったタイミングにもびっくりしたのよ」


「タイミング?」


「ええ。
実は、「マーヤ」を来月いっぱいで閉めることになったの」


「えっ、「マーヤ」やめちゃうんですか?」


私は驚いて受話器を耳に押し当てた。


「ええ。
それで、常連さんは閉店パーティに招待しているんだけど、香菜ちゃんはもう引越してこちらには来ないかなと思ってたから、連絡しようか迷ってたの」


「ええっ、そうだったんですか。
閉店パーティ、行きます!
いや、今週末にでも一度行きますよ!」


「本当?
そうしてくれたら私も嬉しいけど」


「もう一人ですから、誰に気兼ねすることもないですもの」


私がそう言うと、摩耶さんは苦笑を漏らした。


私も笑いながら、もう一度、金曜に必ず行くからと約束して電話を切った。


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