大人の女と男の関係
「あのー」


それまで黙って話を聞いていた千佳ちゃんが、招待状から顔を上げて摩耶さんに声をかけた。


摩耶さんが、なに?という風に首をかしげると、千佳ちゃんは思い切ったように言った。


「この招待状って、成哉さんにも渡されました?」


突然千佳ちゃんの口から成哉の名前が飛び出して、私は驚いた。


それは摩耶さんも同様だったようだ。


「……成哉君?」


戸惑いながら成哉の名を口にした摩耶さんに、千佳ちゃんは笑顔で頷いた。


「はい。
昔、香菜さんがこちらに通っていた頃、よく一緒に飲んでいたイケメンがいましたでしょう?
覚えていらっしゃいませんか?」


「ええ、成哉君のことはよく覚えているけど……
千佳さんは成哉君ともお知り合いなの?」


摩耶さんは私と千佳ちゃんの顔を見比べた。
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