大人の女と男の関係
「千佳ちゃん、いきなり何言い出すの！
いや、千佳ちゃんは成哉とは面識はないの。
私が昔ここに来てた頃の話をしたときにね、えーと、ちょっと話に出ただけで……」


私は慌てて言い繕った。


しかし、我ながらしどろもどろだし、笑顔も不自然だったかも。


でも、摩耶さんはすぐに得心したという表情で、千佳ちゃんと私に向かって言った。


「成哉君には渡せていないの。
香菜ちゃんが結婚した翌年に成哉君も結婚してここから引越していってね。
それっきりもう１年以上かな、会ってないのよ。
香菜ちゃんとは年賀状のやりとりがあったけど、成哉君とはそれもなくて、引越先の住所もわからないし」


摩耶さんがそう言うと、千佳ちゃんは私の顔をちらっと見て言った。


「成哉さんの住所ならわかりますよ、ねえ、香菜さん」


千佳ちゃんに話を振られて、私はまた挙動不審になった。


「え、あ、そう、そうね。
私は成哉とも年賀状のやり取りしてるから……」
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