大人の女と男の関係
昔食べたあの料理が好きだったとか、お二人の馴れ初めは?などと少し話をしたものの、主役の二人をいつまでも引き止めるわけにも行かなくて。


新しいお客様が入ってきたところで、二人は「ごゆっくり」と言って席を離れていった。


残された私と千佳ちゃんは、しばらく食事に専念することにした。


店の真ん中に設けられたビュッフェ・テーブルには、「マーヤ」特製のピザやグラタン、サラダなどが盛られていた。


どの料理もおいしくて、この店がなくなってしまうのが改めて惜しく思えた。


千佳ちゃんとそれらを堪能していると、ふいに千佳ちゃんが私の肩をつついた。


「香菜さん、香菜さん、入り口!」


千佳ちゃんに促されて、店の入り口付近を見るとそこには、


成哉が立っていた――


< 128 / 304 >

この作品をシェア

pagetop